永久にエクスタシーが来ないゲーム|Dome Keeper

プレイ時間が70時間ちょい。やっと実績100%を達成できたところ。最高難易度でもゲームをクリアしたし、実装されているコンテンツはだいたいプレイできたはず。

単刀直入に書くと、Dome Keeperは見た目の印象と違いすぎた。前情報を入れないでゲームを購入するタイプの人が、プレイしたあとに「思ってたのと違う」ってなる典型。

とはいえ、Dome Keeperは人気の採掘ゲームである。Steamでは「非常に好評」をマークしていて、リリースから1年以上経っているにもかかわらず、まだアクティブプレイヤー数は多い。

まあ多いとはいっても、そりゃ超人気タイトルと比べたら大したことない。けれども、パブリッシャーである「Raw Fury」からリリースされているタイトルの中では、堂々の二位。紛うことなきRaw Furyのヒット作である。特別いろんな遊び方ができるというわけでもないし、主に「掘るだけ」のゲームとしてはかなり善戦しているといえる。

しかしその割に、レビューを読んでみると、サムズアップしているレビュワーでもトーンが抑えめなのが妙なのだ。「個人的には評価するけれど、他人には奨められない」のような意見が目立つ。

要するに、好評/不評に関係なく「あまり楽しそうじゃない印象」が伝わってくるのである。

そう、まさにそれ。

まずトータル70時間のうち、最初の15時間。ぜんぜん楽しくないのだ。全く。なにも。目をこらして楽しさを探したけど、ない。「敷かれた線路の上をただ歩くだけ」のような感覚でプレイしていた。

ここらが限界である。もうゲームを理解することは諦め、あとは心を無にして実績100%を目指すことにする。ところが、20時間を過ぎたくらいで「なるほど、こういうことか」と。なんとなく少しわかってきたのだ。

と思ったら、ここからの道のりが想像以上にイバラ。とげとげの道を70時間歩いてきた。

おどろくべきことに、いまだ楽しさを見つけられていない。1回も楽しいと思ったことない。でも、嫌々プレイしているわけではないのだ。

どうだ、意味がわからないだろう。この辺の事情にフォーカスしつつ、Dome Keeperというゲームを紹介しようと思う。

Dome Keeperはどんなゲーム?

やることはシンプルに2つ。「掘る」と「守る」だ。

Dome Keeper概要
出典: Steamストアページ

地下を掘り進み、土中から見つかる資源をドーム(拠点)に持ち帰る。得た資源はスキルポイントとして使う。スキルポイントを使って、キャラクターやドームをアップグレードできる。

次に「守る」だけど、どっちかというと「攻撃する」意味が強いかも。定期的にモンスターが湧く(ウェーブが発生する)ので、ドーム備え付けの武器を使用してモンスターを全滅しなくてはいけない。モンスターは数で圧倒してくることはなく、少ない数で陽動を仕掛けてくる。

ドームには武器だけでなく防御用の設備もある。それぞれいくつか種類があり、ゲーム開始時にプレイヤーが選ぶ。

モンスターにドームの耐久値をゼロにされてしまうとゲームオーバーである。耐久値が減ってくるにつれ、少しずつドームのガラスにひびが入ってきて、最後にはバリーン!と粉々になって割れる。

耐久値を回復する手段は少ないので、あまり手軽には回復できない。そのため、無駄にダメージを受けることは厳禁。原則として、モンスターが現れるまでにはドームに戻っていて、武器をスタンバイしている必要がある。でないと無人のドームを蜂の巣にされてしまう。

また、ウェーブ回数が増えるにつれモンスターはだんだん強くなってくるので、ドームをアップグレードして対応しなくてはいけない。

ゲーム性を勘違いしやすい

あえて説明せずとも、Dome Keeperが採掘と戦闘という2つの要素を含んだゲームであることは、誰だってわかる。

そう、ここに落とし穴があるのだ。誰もが「採掘」と「戦闘」を楽しむゲームだと思い込んでしまうから、「思ってたのと違う」となる。

実は、あまり戦闘にはゲーム性がない。テクニックによる影響は小さいし、ドームのアップグレードが不十分なら普通にゲームオーバーになるからだ。しいていえば、操作には多少慣れが必要ではあるが、モンスターを倒すことにやりがいとかもない。

採掘時間を制限するため、そしてゲームにピリオドを打つ要素として、戦闘は存在している。

採掘についても、鉱脈を見つけたときのウキウキは普通に感じるが、「掘る気持ちよさ」とか「リアルな体験」みたいなのは薄い。採掘要素を含んだ別のゲームをプレイしたことがあるなら、この点は顕著かと思う。ただ、インディーゲーム(プログラマー1人、グラフィッカー1人らしい)なので、ここは大目に見たい。

Dome Keeperのゲーム性

じゃあどこにゲーム性があるのか。それは「資源の回収」である。

資源を得るためには掘り進まなくてはいけない。しかし穴が深くなるにつれ、ドームと現場の「往復距離が長くなる」問題が生じる。ほかにも「下層では土が硬くなる」など、資源が見つかるかは別として「純粋に掘れる土の量」を減らす要因がいくつか浮き彫りになってくる。

対応するには、キャラクターの移動速度やドリルなどを段階的にアップグレードしなくてはいけない。一方、モンスターの対応という問題が背中合わせになっているため、ドームの強化も疎かにはできない。何をどのタイミングでアップグレードするか、判断を求められる。

ここで重要なのは、キャラクターをアップグレードしたからといって、資源の回収効率が上がるとは限らないことである。なぜなら、最短ルートや動線を意識しながら掘るとか、持てない分の資源をどこに置いとくかなど、運送の要素が大きく影響するからである。ある意味レーシングゲームの要素もある。

頭をひねってスキルビルドしても、プレイングに反映できるかはプレイヤーの腕次第なので、充分にゲーム体験ができない場合がある。いわゆる「俺TUEEE」がしにくいのだ。楽しさを見つけられなかった原因はこれだろう。

余談だが、Dome Keeperは意外と手も使う。

独特の重力感があり、掘った資源を運んだり、引きずったり、ぶん投げたりするときに制御が求められるのだ。なかなかに物理演算がしっかりしている。操作ミスをしやすいので、キーコンフィグやゲームパッドの使用は必須事項である。これは必ず最初にやって欲しい。

運の影響

資源の回収「効率」とは書いたものの、資源は土の中である。いちおう掘り方を工夫することで効率化することはできるけれども、正確な位置はわからない。ここで運が絡んでくるわけだが、実際には運の要素は極めて小さくなるようデザインされている。

事実、慣れてくるとある種の感覚が養われ、おおよそどの辺りに鉱脈があるかを察知できるようになるのだ。第三の目が開く。鉱脈を見つけたときのウキウキが倍増する。

ちなみに、Dome Keeperのトッププレイヤー達は、鉱脈を探し当てる精度が尋常じゃなく高い。鉱脈にまっすぐ向かっているようにしか見えないプレイングをする。

スタートラインが遠い

Dome Keeperは、始めから使用できるコンテンツが少ない。キャラクター、スキル、ドーム、ゲーム難易度、ゲームオプション、ゲームモードなど、どれもこれも最初は1つしか選べない。ほとんどアンロック要素になっている。例えばマップ(地下)の広さは4段階選べるようになっているが、最初は最小のマップしかプレイできない。

アンロック要素を解放するには、基本的にゲームクリアが条件となる。いちばん小さいマップでも、最初はクリアするのに1時間程度かかるので、全部解放するのは骨が折れるだろう。

たぶん開発者には「プレイヤーに成長して欲しい」という気持ちがあるのだと思う。というのもDome Keeperは、最終的に「世界中のプレイヤーとスコアを競う」ゲームになるのだ。その土俵で戦えるプレイヤーを育てるため、ゲームにトレーニングスケジュールが組み込まれているのではないだろうか。

とはいえ、開発者が意図したスケジュールでゲームを理解できる人はいいけども、落ちこぼれが生まれてしまうのも必然。これを書いている誰かさんのことである。

プレイヤーの理解力が求められること以外にも、アンロック要素を解放しないとシナジーを生かすフェイズに移れないことも、敷居を上げる要因になっている。ひと山登ったところにスタートラインがあるのだ。

何でもいいからクリアだけしたら解放できるやつはまだマシな方である。特定のモードを一定のスコア以上でクリアすることが条件のものがあり、こいつを解放したときようやく最大限シナジーを発揮できるようになるのだ。ゲームの本質が理解できているかを試す「テスト」のような位置づけなので、もちろん難易度は高い。

アンロック要素の一部はSteam実績とも連動しているため、自ずと実績解除の難易度も高くなる。Steam実績の解除状況からは、スタートラインに立つ前に大多数のプレイヤーがふるい落とされていることが透けて見える。

おわりに

Dome Keeperをひと言で表すなら、「修行」がぴったりだ。頑固一徹、効率を追求する。手軽な爽快感、わかりやすい面白さ、そのようなエクスタシーは存在しない。けれども、自分の腕が上がっていく過程で一喜一憂できるゲームではある。

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